今回は循環器疾患に対する検査のうち、比較的よく行われる検査をご紹介しようと思います。
1)胸部x線検査 | 6)負荷心電図 |
2)心電図 | 7)核医学検査 |
3)血液検査 | 8)ct検査 |
4)心エコー図(心臓超音波) | 9)心臓カテーテル検査 |
5)ホルター心電図 | 10)心臓電気生理学 |
1)胸部X線検査
胸部単純X線検査は、簡単・非侵襲的であり、心疾患の場合はもちろん、胸部の他疾患を鑑別する上でも有用な検査です。心疾患が疑われる場合や心疾患の経過観察の場合など頻繁に行われる検査です。正面撮影のみでなく、側面撮影を行うこともあります。
2)心電図
心臓の筋細胞はイオンの出入りが繰り返され、微小な電位(電圧)変化があります。その電位(電圧)を体表面から拾い増幅したものが心電図です。心電図は、胸部X線検査同様簡単・非侵襲的で、心疾患が疑われたり経過観察の場合などに有用で頻繁に行われます。通常の心電図(12誘導心電図)は両上下肢と胸部に電極を付けて検査を行い、すぐに結果がでます。
3)血液検査
医療のいろいろな分野で活躍しているものの一つに血液検査がありますが、循環器疾患でも血液検査が有用なことがよくあります。例えば、急性心筋梗塞の診断の補助手段、電解質異常の有無、心不全の評価の補助手段、内分泌検査、凝固検査などです。
4)心エコー図(心臓超音波)
心臓以外の腹部疾患や産科(妊婦)で行われているエコー(超音波)と基本的には同じで、心エコーは心臓を観察するように作られた機械です。現在では心疾患の診断や経過観察にはたいへん有用な検査で、胸部X線検査や心電図のように非侵襲的で痛みもない検査の一つです。
5)ホルター心電図
通常の心電図(12誘導)では、短時間の記録であり、一時的(数秒や数分)な心電図異常は捉えることができず長時間記録しなければ診断できないことが頻繁にあります。このような場合、一日中(24時間)記録できれば心電図に異常を捉えることができることもあります。ホルター心電図は小さな機械にリードが付いていて、リードの先にある電極を体に装着し、心電図(電位変化)を記録媒体に記録し、機械を外してから記録内容を解析するものです。不整脈や狭心発作の場合に用います。
※ホルター(Holter)とは米国の人名です。6)負荷心電図
安静時の心電図では異常が観察されない場合でも、いろいろな負荷をかけることにより、その時の心電図に異常が観察されることもあります。負荷の種類もいろいろあり、a)Master2段階法(2段階の階段を1.5分間または3分間昇降)、b)エルゴメーター法(自転車のような機械のペダルをこぎ3分ごとにペダルが重くなる)、c)トレッドミル法(ベルトコンベアの上を歩行し、3分ごとに歩行速度と傾斜が変化する)などがあり、ほかにもあります。虚血性心疾患や不整脈の患者に施行する場合が多い検査です。
7)核医学検査
主に心臓の血流や機能を評価するため、ラジオアイソトープ(RI)である放射性医薬品を体内に注射します。臓器に取り込まれたり、循環している放射線(ガンマ線)を体の表面から撮影します。これにより、他の検査では評価困難な病態を検査します。
8)CT検査
CT検査は今日の日本では多くの病院に普及し、ほとんどの日本人が知っている検査です。医療のいろいろな分野で活躍しています。循環器領域に関しては、近年高精度の機器が普及し、冠動脈の画像を得られるようになりました。また、大動脈の検査では大動脈瘤や大動脈解離の診断や経過観察のためCT検査は以前から頻繁に行われます。
9)心臓カテーテル検査
カテーテルとは長い管のことで、このカテーテルを用いて心臓や血管の検査を行います。検査方法により、カテーテルは動脈または静脈に挿入され、また、挿入部位も異なります。代表的なものには、冠動脈造影があります。冠動脈造影は多くの国に普及し、日本でも多くの病院や一部のクリニックで行われていますが、循環器を専門とした医師が通常行います。さらに、心臓カテーテル法により、検査のみではなく、治療(インターベンション)も近年は普及しています。心臓カテーテル検査としては、ほかに左室造影、大動脈造影、右心カテーテル検査、心筋生検、冠動脈攣縮誘発試験などがあります。有用な情報が得られる検査ですが合併症もあります。
10)心臓電気生理学的検査
これは、心臓カテーテル検査の一部とも言えますが、心臓に電極カテーテルを挿入し、心臓内の電気現象を直接心腔内から記録することができます。この検査により、通常の心電図(12誘導心電図)では診断が困難だった不整脈でも、診断が可能となり、診断や治療方針の決定に重要なものとなっています。また、いろいろな種類の不整脈に対して治療(カテーテルアブレーション)を行うこともできます。
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