一般社団法人老人病研究会は、健やかな長寿社会を目指し、健康長寿Gold-QPD事業を実践する。


公開シンポジウム 「鍼灸医療の将来像を語る」
「認知症のキュアを目指す鍼灸/Gold-QPDについて」
社団法人老人病研究会会長 川並 汪一

公開シンポジウム プログラム

「鍼灸医療の将来像を語る」

平成24年5月23日(水)・24日(木)
参加費:各日 1,000円(第53回 日本神経学会に御登録の方は無料)
会 場:慶応義塾大学三田キャンパス 北棟大ホール (定員300人)
主 催:特定非営利活動法人 日本臨床研究研修機構
共 催:社団法人 東京都鍼灸師会

5月23日(水)18:30~20:30
公開シンポジウム① 「鍼灸医療の将来像」
御挨拶:慶應義塾大学医学部神経内科 鈴木 則宏 教授
座 長:■ 仲野 弥和 氏 (公益社団法人 日本鍼灸師会 会長)
演 者:■ 天野 寛敏 氏 (「脳卒中・認知症予防」鍼灸ネットワーク代表)
「認知症に対する鍼灸活用の展望 / 総論」
■ 川並 汪一 氏 (日本医科大学 名誉教授・老人病研究会会長)
「認知症のキュアを目指す鍼灸 / Gold-QPDについて」
■ 植松 大輔 氏 (慶應義塾大学 神経内科 非常勤講師)
「統合医療の将来像と鍼灸」

5月24日(木)18:30~20:30
公開シンポジウム② 「地域社会における鍼灸医療活用:鍼灸医師法に向けて」
御挨拶:衆議院議員 菅原 一秀 先生
■ 藤井 伸康 氏 (練馬区鍼灸師会 会長)
演 者:■ 林 健太郎 氏(PCAT東日本被災地支援プロジェクト専従医師)
「被災地医療支援における鍼灸医療活用の可能性と将来像」
■ ビデオメッセージ他ご紹介 「鍼灸医療の担い手 / 鍼灸医師への道のり」

お問い合わせ:公開シンポジウム事務局(担当:鳥海)
e-mail: neurology53@gmail.com Tel:080-5451-0234

(社)老人病研究会 川並 汪一会長講演のスライドと原稿

本日は、この特別企画「神経内科と鍼灸医療の邂逅」公開シンポジウム「鍼灸医療の将来像を語る」にお招きいただきありがとうございます。みなさんご存知のようにこの公開講座の主催者である鳥海先生は、大学病院神経内科という専門領域外来で活躍する初めての鍼灸師さんであろうと思います。彼の今後の活躍は、まさに理想的鍼灸師の役割の魁として重要な意味を持つものと思います。本日のテーマは、今後の鳥海さんご自身が体現なさるものと期待されます。

高齢社会で家族に一人の認知症患者さんが出るとその周辺症状と呼ばれる汚物いじり、虚言、暴力そして徘徊など家族だけで対応できなくなります。早期に診断し治療とケアの仕方を見つけなければなりません。お爺さんとお婆さんの二人暮らしで老老介護となり、相手も認知症になると認認介護が現実の社会問題となってきました。そんな折、私どもは文科省助成金を受けて日本医大武蔵小杉病院に街ぐるみ認知症相談センターを設立しました。そして、認知症国際フォーラムを2度にわたり開催しました。2009年に開催したフォーラムで鍼灸が認知症治療と予防に顕著な効果を示すことを見出したのです。そこでGold-QPD育成講座の開講に結びつきました。


2009年10月に第2回認知症国際フォーラム漢方と鍼灸治療の効果についてパネルデイスカッションを開催しました。そこで天津中医薬大学の韓景献教授の鍼灸効果が印象的であり社団法人老人病研究会として早速その教育講座Gold-QPDを開催することに決定しました。

ギリシャ神話のキューピドは黄金の矢で人を情熱的に変えることができるといわれます。黄金の矢を鍼に変えたキューピッドすなわち鍼灸師を育成する事業です。

韓教授のいう三焦の鍼法とは、基本6穴(上、中、下焦)よりなり5臓を養うことで脳血流量を増大し、代謝を更新し、神経再生を促すといわれます。これらは動物実験から分子生物学レベルの実験で確認されています。そして435名の認知症の症状を改善することでも知られています。

この教育講座は単に鍼灸技術を教育する講座ではありません。ブロンズ、シルバー、ゴールドコースよりなり認知症を西洋医学的、中医学的側面から学習します。そして介護接遇福祉について修得し、徹底した技術的標準化を試みます。やがて認知症患者さんと直接触れ合い接遇法を学びます。コースを卒業した人は、実際の高齢施設で実践トレーニングを行いその結果を本部に報告します。推進委員会が認めれば資格認定証が授与されます。


これは第2回育成講座に関する日本医科大学同窓会報の記事で、パネルデイスカッションと韓景献教授、兵頭明所長の写真です。


これまでに全国で合計52名のゴールド研修生が育成され、首都圏が38名と圧倒的人数です。北は北海道から南は沖縄まで分布しております。うち20名が認定証を授与されました。現在更なる報告が寄せられつつあります。

本年1月時点での報告症例はアルツハイマー型、血管型認知症が22名で、ゴールド研修生の合計施術回数は600回近く、また一人の患者さんへの最大施術数は57回に及びます。

結果の要約

  • 1)
  • 認知症患者との初対面時は信頼する人を同伴すること。初回施術は13%が完全拒絶するが2~3度目に受諾する。
  • 2)
  • 施術5回前後で“鍼の先生でしょう”と施術者を認識する、“身体と頭が軽くなり認知能力が改善、気持ちよくなった、今度いつ来てくれる?“(36%)お世辞をいうようになる。
  • 3)
  • 平均3ヶ月12回の施術中、周辺症状緩和、家族の顔を見分け、性格が穏やかになる。しかし症状は必ず消長の波を示し施術のたびに平穏を取り戻す傾向がある。
  • 4)
  • 平均すると認知度(MMSE)に顕著な変化は無いが自立するための日常生活動作(ADL)と生活の質(QOL)が著しく向上。


第一回資格認定授与式後の記念写真

Gold-QPD資格認定鍼灸師は、鍼灸院に来ない対応困難な認知症患者さんを相手とするので、認知症の基礎的医学と中医学を修得し接遇法と鍼法技術の標準化に努め治療成績を報告することで医学に貢献する。
高齢者が誰でも持つ不定愁訴の治療からはじめることが重要である。それから認知症予防と治療の施術を心がける。
家族と介護士や付添の負担を軽減、施設経営へも貢献する。
“一施設に一鍼灸師”が従事することで介護施設の医療面全体を見渡す役割を医師とともに担うことができる。
将来的に施設での鍼灸師への依存度は格段に高くなり、高齢社会で不可欠の役割を果たせるものと信じられる。認知症患者さんを扱う認定鍼灸師は高齢社会最大の技量を提供できる。


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