一般社団法人老人病研究会は、健やかな長寿社会を目指し、健康長寿Gold-QPD事業を実践する。


市民公開講座
平成28年度 第3回 開催報告
息切れ・咳・むくみ・だるさ  それは心不全かもしれません

市民公開講座“健康の集い”は、本年度の第3回目が8月13日土曜日の午後に開催されました。
会場は、日本医科大学武蔵小杉キャンパス南館2階の講堂です。椅子席を足しても、最大200名の会場です。

「息切れ・咳・むくみ・だるさ それは心不全かもしれません」 開催報告

講演者日本医科大学武蔵小杉病院 循環器内科部長・副院長
佐藤直樹先生

座長は、心臓血管外科の井村肇部長が務めました。

会当日は、お盆の時期でしたが、炎天下のもと、開演の1時間前から、聴衆が続々と集り、参加人数は180名を超え、会場は満杯となりました。


講演者: 佐藤直樹 先生
講演者: 佐藤直樹 先生

講演は、冒頭に心不全の定義を紹介した後に、“知っていただきたい事”を8項目挙げ、順次解りやすく説明されてゆきました。

  • 心不全は今後増え続ける。予後は極めて不良です。最も予後不良の癌(肝がん)に匹敵するほどです。入院患者もきわめて増えつづけています。死亡率は、院内で6.4%、一年後死亡率は21.8%です。
  • 心不全は知らないうちに忍び寄ってくる。症状がない“隠れ心不全”です。

    症状がない“隠れ心不全”
  • 心不全の危険因子:高血圧・糖尿病・冠動脈疾患です。高血圧の有病率は、 成人の二人に一人。高血圧性心疾患が起こりますので、ガイドラインに準じた厳格な高圧療法が必要です。 糖尿病は心臓のみならず、脳・眼・腎臓・足の血管病を起こします。
  • 心不全を起こす病気:それには様々な原因があります。 生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質異常症)、睡眠時無呼吸症候群、肺・腎の病気が危険因子となり、 心臓の血管・筋肉・弁・膜・伝道系に異常を起こします。心不全の診断は、家族歴・既往、心不全危険因子、 心電図、胸部X線、血液検査などで判断されます。
  • 原因はさまざまでも、心不全の症状・兆候は3つです。息切れ・むくみ・だるさです。 息切れは、動いた時の息切れ、発作性夜間困難、起坐呼吸の時に起こりやすく、 心機能の低下により肺水腫が起こります。むくみは、足・顔・お尻に、浮腫が現れます。 だだるさは、心臓が吐き出す血液量が少なく、低心拍出の状態です。
  • 心不全は段階がある。早期発見が大切です。早期介入により、早期改善、早期退院が可能となります。
  • もし辛くなったら、時間が勝負!すぐに救急車を呼んで、病院で治療すること。搬送時間が45分を過ぎると、病院で亡くなる率は、2倍となります。
  • 心不全の治療:先ず適切な薬の治療が大切。収縮する力が低下している心不全でも、様々な薬があり、治療をすることができます。

最後に纏めとして:心不全の患者数は激増・死亡率は極めて高い → 早く見つけよう!「心不全・生活習慣病・睡眠時無呼吸症候群は注意 → 息切れ・むくみ・だるさに注意 → 心不全と言われたら、適切な薬の治療が大切」と言うことで講演を終わりました。その後質疑応答に入り丁重に答えられていました。

会場内
当日の会場風景


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