一般社団法人老人病研究会は、健やかな長寿社会を目指し、健康長寿Gold-QPD事業を実践する。


公開講座
第25回 健康の集い 開催報告
「中高年の目の病気・トラブル」

「中高年の目の病気・トラブル」~白内障、緑内障、加齢黄斑変性症~ 開催報告

講演者 日本医科大学武蔵小杉病院眼科部長
鈴木 久晴先生


日時:平成27年12月20日(日)14:00~16:00 
場所:富士通ユニオンビル (武蔵小杉駅歩いて3分)
参加人数: 85名
協賛: 参天製薬株式会社
後援:日本医科大学武蔵小杉病院、川崎市医師会(生涯教育認定講座)、小杉町一丁目町会、
中原区老クラブ連合会


当日は曇りの天候で、寒くなってきている折、聴衆の集まりが心配されました。しかし、開演の1時間前から、絶え間なく集まってこられました。 川並汪一会長の開会挨拶の後、川並先生が座長につかれ、鈴木先生を紹介しました。若手の部長の職にありながら、研究熱心で論文発表が多く、アメリカ・イギリスなどの諸外国の眼科学会で表彰をうけておられます。そんな中で、武蔵小杉病院の診療を熱心にこなされています。特に白内障については世界的なエキスパートでありますとのことでした。


鈴木 久晴先生
鈴木 久晴先生

● 冒頭に目の構造を写真機に例えてわかりやすく解説しました

水晶体がレンズで、網膜がフィルム。逆さに写った像を視神経を通じて、脳で解析をするとのこと。角膜から脳までのどこかに障害が起これば、視力は低下します。 正視、近視、遠視、乱視の仕組みを解説しました。その他に老視というものがあり、若い時はめがねがいらなかったが、40歳過ぎに手元の新聞が見えなくなった、遠くを見てから近くを見るとぼやける症状です。


● 目の病気について、4つにわけで話されました。

  • 外眼部感染症:ドライアイ・・・涙は大切な液体で、5分に1回入れ替わります。目の乾燥や感染防止の成分が、目を守ってくれています。ドライアイは加齢で涙液量が減って起こります。点眼液を、ヒアルウロン酸の点眼液が補充します。市販品の点眼剤では、コンドロイチン硫酸が含有されているもので代替できます。涙は大切なもので、今ではプールに入った後,水道水で目を洗うことは禁止しています。
    結膜炎・・・目やに、充血、流涙などの症状は、感染症の可能性が他界ので、伝染に注意します。眼をいじらない、タオルは別にする、手をお洗う注意が必要です結膜炎の三分の二は麦粒腫(いわゆる物もらい)で、や、ゴロゴロする、痛いとの症状の時には病医院に行ってください。
  • 緑内障・・・患者数は400万人と推定されていますが、80%の方が築いていません。硝子体の眼圧の正常値は10~20mgHgですが,その値が上がり、視神経の根元を傷つけて、放置すると失明につながります。治療は1種類の点眼薬で開始、眼圧が下がらなければ2,3種類の点眼剤を追加し、更には飲み薬も併用します。従って、定期的な検査、治療の継続をしてゆくことが必要です。
  • 白内障・・・・・自覚症状は、仮すんで見える・まぶしい・明るいところで見にくい・めがねが合わなくなる・二重三重に見えることなどです。白内障の手術は著しく進歩しており、日帰り手術出来ます。日本医大病院の眼科では、外来診療室の中に手術室を設けています。小さな穴を開け、濁った水晶体を吸引で取り除く、そこにレンズを挿入します。レンズには4種類ぐらいありますが、多焦点眼内レンズと調節可能眼内レンズは、未だ健康保険が利きません。
  • 糖尿病性網膜症・・・・糖尿病のコントロールが悪く、罹病期間も長くなると、失明に至ります。網膜の出血や白斑に加えて新生血管や増殖膜ができ、硝子体出血が起こります。治療は、汎網膜光凝固で、新生血管をレーザーで焼き切る方法です。
  • 加齢黄斑変性症・・・・網膜の黄斑部位の加齢変化によって起こる疾患です。高齢者の失明原因の一つです。黄斑部の下に空洞が出来て、そこに新生血管が増殖し、網膜剥離が起こり、更には網膜下で出血し、瘢痕が残ります。

最後に加齢黄斑変性匠を始め、白内障などを含めて、「眼のアンチエージング:予防」には、サプリメントとしてルテイン(カロチノイドの一種で、黄緑色野菜(ケールやほーれん草、とーもろこしなど)のサプルメントが予防効果があります。また亜鉛・ビタミンC・E,βカロテンなども有効との報告があります。

先生の情熱的な講演は、休憩時間をはさんで2時間を越えました。終了後、聴衆の皆さんから質疑応答の時間を持ちました。7人の方々から、自分の目の病気についての心配事や手術すべきかどうかのセカンドオピニオンの質問があり、鈴木先生はわかり易くアドバイスを与えていました。

会場


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