- 公開講座 健康の集い
(お知らせ/最新情報) - 2016年第5回共催公開講座
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- 認知症シリーズ:第2回
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- 第25回 中高年の目の病気・トラブル
- 第24回 高齢者の救命医療で大切なこと
- 第23回 高齢者の排尿のトラブル
- 第22回 認知症:知っておくべき基礎知識
- 第21回 脳卒中治療の最前線~治せる脳卒中
- 第20回 高齢者と皮膚疾患
- 第18回 今からでも間に合う健康長寿のための食事と生活習慣
- 第17回 東洋医学による認知症の予防と改善
- 第16回 高齢者に多い精神科の病気の話
- 第15回 認知症を理解して正しく付き合う
- 第14回 増えている大腸がんのお話
- 第13回 高血圧!忍び寄る魔の手~若年者から高齢者まで
- 第12回 認知症についてもっと知識を深めよう
- 第11回 知って得する糖尿病の知識
公開講座
第22回 「健康の集い」開催報告
「認知症:知っておくべき基礎知識」
「認知症:知っておくべき基礎知識」 開催報告
講演者
・認知症患者のケアと環境について 日本医科大学武蔵小杉病院看護部 窪田裕子
・認知症~診断と治療の今~ 日本医科大学武蔵小杉病院神経内科 石渡明子
日時:平成26年11月29日(土)14:00~16:00
場所:富士通ユニオンビル (武蔵小杉駅歩いて3分)
参加人数: 75名
協賛: エーザイ株式会社
後援:日本医科大学武蔵小杉病院、川崎市医師会(生涯教育認定講座)、小杉町一丁目町会、
中原区老クラブ連合会
当日は冷たい雨が降る中で聴衆の集まりが心配されましたが、熱心な方々は一時間前頃から三々五々会場に集まり、最終的には75名の多くの方々が参加していただきました。
窪田裕子看護師の話:
認知症のケアと環境というテーマで、40分間話されました。 看護師として認知症の患者への介護経験から患者さんの心理状態を紹介されました。患者さん自身は記憶障害、見当識障害、実行機能障害などの中核症状が障害される結果、不安や暴言、徘徊などが起こしてくる。ここは何処? この人は誰だ? さっき何していたかな?何するの?何も聞いていないよ! 何を話しているのかわからない?など、絶えず不安と緊張の中で暮らしている。その中で、家族や周囲の方々から何かを言われたり指摘されたりすると過剰に反応してしまう。患者さんの特性やその人の生活歴を理解し、安心して日常生活が送れるように支援することが大事である。具体的には徘徊や帰宅願望に至る心理、興奮や暴力などを起こす心理には不安・緊張・恐怖などが背景にある
記憶障害に対しては、何度聞かれても丁寧に同じように説明をする、メモを活用する(今日の予定を渡す、引出しに名前を付けるなど)、本人がタイムスリップしている時代に寄り沿って対応する。 見当識障害については、環境を整える(ティッシュやごみ箱の位置を変えない、目につくところに時計やカレンダーを置く、生活リズムを整える(いつもと同じように過ごす)などに配慮する。最後に患者さんにこのような接し方はどうでしょうか?と具体的な話をしました。・自己紹介をあえてする・・・娘の○○だけど~、日時や時間、季節や天候などをさりげなく伝える、笑顔で目線を合わせて話をする、ゆっくり・はっきり・聞こえる大きさの声で話す(かん高い声は、恐怖を与える)、簡単な単語で短い文章を使う、不安感の強い人にはそっと手をふれる、これから行うことについて話してから行う、受け入れてもらったら、お礼を伝える。
窪田裕子氏
石渡明子氏
石渡明子先生の話:
認知症に関する診断から治療まで、最新の情報を幅広く、60分間にわたって紹介されました。
- 認知症の病態別実態:アルツハイマー病、68%、脳血管性認知症19%、レビー小体病4%、前頭側頭葉変性症1%、その他8%。
- 患者数に関する最新の疫学資料:要介護2以上の認知症患者305万人、介護1の認知症患者157万人で、462万です。それに軽度認知症患者が400万人が加わると862万人となる。65歳以上の高齢者人口は3079万人ですので、4人に一人が認知症患者です。これだけ多くの患者がいるので、その対策は国家的な取り組みがのぞまれている。
- 軽度認知障害(MCT) 一年で12-13%が認知症になる、4年で50%が認知症になる、認知症の中ではアルツハイマー病になる、認知症の高リスク群(予備軍)。
- 65歳以下で発症する若年性認知症は、全国で約4万人です。脳血管性が40%、アルツハイマー性が25%の順になる。
- もの忘れで受診した時の流れ、初診日:問診・記憶の簡易テスト、神経診察、採血)2回目(画像検査、神経心理検査)・3回目で診断確定し、治療を開始します。
- アルツハイマー病の原因:老人班(アミロイドβ淡白の蓄積)、タウ蛋白室の蓄積、シナプスにダメージという順で、神経細胞死にいたる。
- アルツハイマー病の経過に伴う症状(軽度2年間、中等度1.5年間、高度5年間) 平均で8.5年間で死に至るが、原因疾患は誤嚥性肺炎や心不全や脳卒中など)
- 治療可能な認知症として、特発性水頭症、慢性硬膜下血腫、外傷などは手術で、又甲状腺機能低下症やビタミンB1・B12欠乏症などでは薬物治療で治すことが出来る。
- アルツハイマー病の治療:記憶障害・実行機能障害・記憶障害、失行・失認・失語などの中核症状に対しては、現在4種類の薬を使うほかに、生活習慣の指導をする。進行は遅らせることが出来るが、治らない症状です。
- 抑うつ、不安、妄想、幻覚、暴言/暴力などの周辺症状などに対しては適切なケアや薬物療法で改善可能な症状である。
- 認知症の早期発見の意義:進行を遅らせる4種類の薬が使える、将来のことを自分で決める、余裕を持った介護の準備、新しい治療お方法に備えることが出来る。
- アメリカ神経学会が示した「アルツハイマー病の10の早期症状」①日常生活に支障をきたす物忘れ、②計画を立てたり日常的な仕事が困難、③家庭や仕事場、旅先で今まで出来ていたことができない、④時間や場所が分からない、⑤読んだり見たものの理解や位置関係があやふや、⑥会話や書字がとぎれる、⑦置き忘れ、⑧判断力低下、⑨仕事や社会活動からのひきこもり、⑩気分や性格の変化
- 早期発見のポイント:家族も日常生活での変化に注意し、年齢のせいにしない、早めに家族と医療機関を受診することが必要です。
講演終了後、5人の方々から質問が寄せられ、お二人の先生が丁寧に答えられていました。
最後に北村伸先生(老人病研究会常務理事、日本医科大学武蔵小杉病院神経内科教授)
講演会の総括と街ぐるみ認知症相談センターでの認知症早期発見の活動を紹介し、閉幕となりました。